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「NPO法人みんなの集落研究所 平成26年度成果報告会」開催報告

8月 12, 2015

おしらせ

「NPO法人みんなの集落研究所 平成26年度成果報告会」開催報告
平成26年度の活動のご報告並びに今年度の取り組み状況について、
主に会員を対象にご報告する場として、成果報告会を開催いたしました。
当法人が取り組む事業の全体説明をした後、以下4テーマにしぼって、ご報告をしました。
「集落大図鑑の発行」
「地域の個別支援(多様な主体とのマッチング)」
「地域おこし協力隊のネットワークと支援」
「新しい介護予防・日常生活総合支援事業の導入に向けた支援」
日 時:平成27年8月3日(月)18時30分(受付18時00分~)
場 所:勤労者福祉センター4階 会議室(〒700-0905 岡山市北区春日町5−6)
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18:30~ 開会
岡本会長が欠席のため、首席研究員の阿部典子が代わってご挨拶を致しました。
18:35~ 本日の流れおよび昨年度の事業報告・今年度の事業計画
代表執行役石原達也から昨年度の事業についてご報告しながら、今年度の事業への発展やつながりなどをご説明しました。
昨年度までに勉強会や資源調査の手法研究などを進めていたものが、新しい総合事業の支援につながり、また小規模多機能自治の勉強会・研究などの蓄積が具体的に地域自治組織づくりの支援という形で関わるなど、昨年度までの成果が次の取り組みへと発展してきています。
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18:50~ 成果報告
集落大図鑑の発行                     [執行役 水柿大地]
地域の取り組みをポイントにまとめて紹介する機関誌「集落大図鑑」の取り組みについてご報告しました。遠くの知らない地域の事例でなく、近くにある・つながれる事例について、真似できるポイントとして整理しまとめます。
昨年度取り上げた4つの事例について紹介しながら、具体的な成果を説明しました。例えば、JA跡に自分たちで店を立ち上げたまちづくり夢百笑への視察や交流が生まれたり、地域で困り事支援を行うNPO法人スマイル・ちわを参考にNPOを立ち上げた地域があるなど、多くの連携や次の取り組みにつながっています。
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地域の個別支援(多様な主体とのマッチング)       [客員研究員 河上直美]
地域の様々な取り組みについても個別で支援も行っています。特に「資源(特産品・環境)を売る」をテーマに多様な主体と連携しながら実践している美作県民局での取り組みについてご紹介しました。みんなの集落研究所の客員研究員で、株式会社いちとして、マーケットや加工品の開発なども行っている河上からご報告しました。
美咲町の江与味地区・大垪和地区の取り組みを例に、取り組みはじめのきっかけから様々なセクターの方とパートナーとして一緒に取り組んできたこと、また何のために取り組んでいるのか、という意味や意義を一緒に考えながら進めていること、など個別支援に必要なポイントについてご説明しました。
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地域おこし協力隊のネットワークと支援           [執行役 梅谷真慈]
地域おこし協力隊がそれぞれ抱える3つの課題(使命達成の課題、将来の課題、制度の課題)に対して、県域で連携し、自分たちの経験や知恵の共有により解決の仕組みをつくっていくための取り組み(協力隊による互助的な解決)を支援しています。
最初に地域おこし協力隊の制度と現在のトレンド(新卒や大学卒業後数年などの若い協力隊が増えていて、即戦力として地域にインパクトを与えることは難しい)について説明し、それを踏まえて現在発生している3つの課題とそれに対する取り組みについて説明しました。ネットワークづくりとして交流会を開催し、課題出しワークショップやある協力隊の課題を参加者全員で解決のアイデアを出すなど取り組んでいます。次回はメディアへのPRや対応などを学ぶ&ネタを売る機会としての交流会を8月19日(水)に開催します。
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新しい介護予防・日常生活総合支援事業の導入に向けた支援 [首席研究員 阿部典子] [上級研究員 西山基次]
2015 年度の介護保険制度改正により、これまで「要支援者」に対して予防給付で行われていた「訪問介護」と「通所介護」について、市町村ごとに行う「地域支援事業」へ2017 年度末までに移行し、担い手は介護保険事業者に限定されず、むしろ地縁組織や地域のボランティア団体、NPO 法人や民間企業等の新たな担い手が想定されています。
この大きな転換を地域のために活かすチャンスと捉え、「地域に合わせた仕組みづくり」「担い手となる組織への接続」という両輪に対して支援に取り組んでいます。
①地域資源調査
岡山市での取り組みを例に、地域資源調査の手法を中心にご説明しました。
②主体の整理と整備
最適な担い手の把握・場合によっては組織再編、既存組織同士の連携なども含め、地域の担い手をどうつくるかも重要になります。そうした担い手の一つとして地域自治組織も考えられ、瀬戸内市での地域自治組織づくりの取り組みについてご紹介しました。
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③取り組みはじめの支援
美咲町ではサポーターを活かして、居場所づくりへの取り組み(通所Aのボランティア⇒通所Bの担い手へ)を進めており、その支援についてご紹介しました。その他奈義町などでも各自治体の状況を踏まえた支援を行っています。
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20:15~ 質疑応答
以下、多数のご質問を頂きました。ありがとうございました。
「地域おこし協力隊には共通課題があった方がよいでしょうか?」
⇒上山では棚田再生という共通課題があります。
 そうした共通課題があった方が協力隊同士のまとまりができ、
 また数人単位で配置した方が地域へ与えるインパクトも大きくなります。
「大垪和のやまっこ工房の自立や担い手について、現状を教えてください」
⇒他事業も活用しながら進めています。パートナーとのマッチング・収支計画の支援などを
 行いながら自立を促します。担い手は移住者の方に少しずつ関わってもらったりしています。
 賃金などは今後払えるようにしていきたいとのことでした。
「地域資源調査の方法について、教えてください。」
⇒移動、必需品の調達などカテゴリー分けし、ワークショップ形式で。
 平易な言葉で、支援者の知る高齢者の日常を引き出す。
 これまでも同様のカテゴリー分けで、75歳以上の高齢者のヒアリングを
 実施し手法を確立してきました。
「生活支援コーディネーターの役割やスキルはどういったものが考えられますか?」
⇒市町村が市全域を担当する人や中学校区を担当する人などを配置します。
 福祉でないものをつくるなど地域づくりなどの視点も持ち、地域の情報を持つ人が考えられます。
 地域おこし協力隊なども担い手の候補として考えられます。
「多様な主体をどうやって見つければよいでしょうか?」
⇒単なるネットワークではなく、本当に困っていることを聞いた上で、
 ネットワークをつくる・一緒に何かをつくる ということが必要になります。
「閲覧資料に県境課題調査のことがありましたが、どんなことをしていますか?」
⇒岡山と鳥取の県境や市境など行政区および地理的な境界などの課題、セクター間の課題を調査
 結果を書籍としてまとめたいと考えています。
「リーダー担い手がいない、やる気にさせるポイントは何でしょうか?」
⇒実は地域の方はやる気があると感じます。
 人口減少、高齢化率など情報を出してた上で、一緒に考えます。
 地域の人は毎日地域のことを考えており、本音で話をすることが大切です。
20:30  閉会
この度の成果報告会では、
多くの方々にご参加を頂いたおかげで、開催することができました。
30名以上の方にお越し頂き、スタッフ含めて合計46名でした。
誠にありがとうございました。
地域の現状やそれに対する当法人の取り組みについて、
一部ではございましたが、お伝えすることができたのではないかと思います。
みんなの集落研究所では、今後を見据えて自主事業として調査・勉強会なども行っています。
「◯◯に関して調査してほしい」「一緒に取り組みたい」などがございましたら、
ぜひご相談をお寄せください。