集落による集落のためのシンクタンク

7/2(土)平成27年度成果報告会を開催しました。

7月 7, 2016

おしらせ

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日時:平成28年7月2日(土)13時30分~16時45分
場所:岡山市民会館
NPO法人みんなの集落研究所 平成27年度成果報告会を開催いたしました。お集りくださった皆さま、ありがとうございました。
みんけんが設立して三年目の昨年度は、新たなチャレンジとなる事業も多く、私たちも取り組みの中で多くのことを学びながら、調査や計画・仕組みづくりをおこなってきました。みんけんとしての文脈を大切にしながら、新しい総合事業や地域おこし協力隊の支援、助け合いや生活支援の仕組みづくりや小規模多機能自治の推進、モビリティを活用した課題解決と持続可能な仕組みづくりに今年度も引き続き取り組んでいます。
それでは成果報告会の様子を、少しだけご紹介します。
13:30~ 開会・挨拶
評議員 平田 隆邦より開会のご挨拶をいたしました。

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13:40~ 昨年度の全体事業報告・今年度の全体事業計画 
代表執行役の石原より「越境のしくみづくりプロジェクト」をもとに、これまでの事業状況の振り返りをおこない、成果報告会の進め方についてご説明しました。

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みんけんは、このプロジェクトを中心にして「中山間地域に暮らす人の生活」「集落(コミュニティ)の機能維持・発展」「地域を支える人材の支援・育成」について取り組んでいます。
これまでの活動の中でみんけんは、実際に地域で起きていることを洗い出していく調査をしていき、中山間地域が抱えていた課題をみつけてきました。そして、その解決のための持続可能なしくみを検討することが必要だと考えてきました。
そして昨年度にはいり、ついに調査から制度や仕組みの支援の取り組みが始まりました。これからの集落(コミュニティ)のあり方、未来世代に必要なことについて考えていくために、今回の成果報告会では以下の取り組みについて発表します。
1.上山集楽みんなのモビリティプロジェクト
2.地域おこし協力隊導入に関する支援
3.執行役、評議員取り組み紹介
4.小規模多機能自治の推進
5.新しい介護予防
13:55~ 成果報告および今年度の取り組み
1.上山集楽みんなのモビリティプロジェクト
執行役の水柿大地と梅谷真慈よりプロジェクトの紹介をいたしました。

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みんなのモビリティプロジェクトは、持続可能な中山間地域を実現するために「日常生活・農業・観光を変えていこう」と立ち上がりました。
日常生活においては、まずは地域の課題を把握するために中学生以上の住民の方を対象にヒアリングを実施しました。調査結果を地域の人と共有し、課題に気付いてもらうには、地域の主体性をつくりだしていく必要があるということで、今年度はサロン・持ち寄り居酒屋やみんモビ新聞の発行することで主体づくりに取り組んでいます。
農業利用では、農作業の工程を細かく洗い出すことで、モビリティを農業用に改良・開発し、そのモビリティの導入によって新規就農者を増やしたり、高齢になってもできる農業づくりを目指しています。

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また、観光利用では、棚田を活かした持続可能な観光を実現するために人がたくさん来て地域が疲弊するようなやり方ではなく、地域の方にもお金が入る仕組みづくり、出番づくりについても考えています。その具体的な方法として、棚田で田舎暮らしを体験できるツアープログラムを計画しています。超小型EVを活用したテストツアーを実施予定。このプロジェクトを活用して地域の「支事」づくりを始めます。
2.地域おこし協力隊導入に関する支援
執行役の梅谷真慈と藤井裕也より紹介いたしました。

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平成21年度から地域おこし協力隊の制度が始まり、岡山県内でも協力隊の数はずいぶんと増えました。しかし、導入する地域や行政は何のために 協力隊を導入するのかをしっかりと考える必要があり、協力隊を希望する人もの3年後のゴールをきちんと考えていなければ、お互いにとってよくない結果がうまれてしまいます。
そこでみんけんとしてできることを考え、地域おこし協力隊研修を始めることにしました。導入前から任期終了後までをサポートできるネットワークをつくって、3年間の活動が意味あるものになるように「入る側」「迎え入れる側」「行政」が協力し合える関係づくりを支援していきます。

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また、今年度より地域おこし協力隊のOBが主体となり、地域おこし協力隊ネットワークを立ち上げます。現在、岡山県の地域おこし協力隊の数は100名ほどになりました。「地域おこし協力隊」の運用に関する課題を継続的に取り上げ、様々な団体等のネットワーク化を図り、研究と実践活動を政策的観点等から連携させ、地域おこし協力隊に関する政策提言等を行っていくことを目的としています。岡山県の地域おこし協力隊やOBOGが協力し合って、県内の地域で事業を作っていく、活動の相互支援をすることを目指して取り組んでいきます。
3.執行役、評議員取り組み紹介
高梁市と松原町の移住の取り組みについて執行役の佐藤拓也より紹介いたしました。
高梁市の人口は減少し、便利な総社や倉敷へ流出しています。そこで高梁市の人口流出対策におけるさまざまな移住の取り組みについてお話いたしました。執行役の佐藤も移住コンシェルジュとして一役買っております。

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特に重点の置く取り組みに「空き家・空き農地情報バンク制度の運用」があります。
空き家バンク登録数と移住者数は密接な関係にあり、空き家の数だけ人口が増える余地のあることから、地域での空き家の調査と家主の意識確認を進めています。
高梁市の中でも、人口764人の松原町では、移住者受け入れ団体の立ち上げまで進んでいます。空き家の清掃・調査をおこない移住者の受け入れに備えます。その結果、移住者が増えて、町に小さな商いが生まれ、地元と移住者の新しい交流が生まれました。「移住」という新しい風を取り込むことで、地域に何か変化が生まれた事例でした。
美甘地域振興の仕組みづくりについて評議員の稲田文夫より紹介いたしました。
真庭市にある美甘地域はもともと財政的に余裕があったため。行政主体で様々な取り組みがおこなわれていました。しかし合併後も行政主体の意識が抜けきらず、地域コミュニティへの助成金も削減されてしまう中で住民の主体づくりを考える必要がありました。

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そこで3年間の補助金事業を申請して、美甘地域振興の仕組み構築に向けた拠点づくりを始めました。その中の取り組みの一つとして、美甘カフェの運営があります。地域にいる人たちの交流拠点になったり、外から来る人のもてなしの場になったり様々な機能を果たしています。
しかし、駐車場となる土地がなかったため、その取得について美甘の人たちが動き始めました。その結果、地域でお金を出し合って会社を設立させ、拠点を維持させることに成功しました。住み慣れた地域でいつまでも健康で幸せに暮らし続けるためには、行政に頼らない住民主体の動きが必要だという事例でした。
15:15~ 休憩
15:25~
4.小規模多機能自治の推進       
上級研究員の西山基次よりお話いたしました。

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画一的な行政サービスでは、地域固有の課題に対応しきれなくなってきているので、その対応できない部分を地域が助け合いで補っていこうという動きが始まっています。島根県にある雲南市の「小規模多機能自治」という取り組みを参考に岡山県内でも各市町村がその動きに注目するようになりました。住民が主体になって一緒に仕組みを考えていくことが何よりも大切なことです。
みんけんでもその仕組みづくりの支援を始めています。昨年度から、地域自治組織の制度づくりや組織の立ち上げ・運営の支援などについて瀬戸内市や津山市と一緒に考え始めました。
また自慢大会も推進しています。自慢大会とは、いわば地域の活動報告会です。昨年度は岡山市と津山市、今年度に入って美咲町でも自慢大会をひらきました。
私たちの暮らしを今後も持続させていくために必要なことを、そこに暮らす人みんなで考えていけるような提案をこれからもできていけたらと考えています。
5.新しい介護予防・日常生活支援総合事業の取り組み支援
首席研究員の阿部典子よりお話いたしました。

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平成29年度までに新しい総合事業への移行が国の方針によって進められています。
市町村では、その支援体制の充実と強化、それから地域住民は支援体制への参加が必要となってきます。「介護の社会化」から「地域社会の福祉化」へ、お互いさまの助け合いが必要な時代へとさしかかってきました。
そこでみんけんでも、生活支援の体制づくりに美作県民局と一緒になって取り組むことになりました。具体的な方法として、シミュレーション手法等による仮説・検証・調整・人材育成戦略などの仕組み検討、サポーター養成のための研修などの人材育成事業、新総合事業や関連した取り組みに関する啓発や相談、これらのことに対して、取り組みを進めているところです。
現在は別の文脈で進めている地域自治との連携もはかって、これからの地域のあり方を色んな側面から考えていけるような提案を進めています。
16:15~ ポスターセッション
それぞれの取り組みについて、参加者の皆さまから様々な感想、意見や質問をいただきました。
16:45~ 閉会挨拶
どの取り組み報告も、それぞれ担当者のカラーがでています。それぞれが集まってこそのみんけんなのだと主催側も実感した成果報告会となりました。
ご参加くださった皆さま、本当にありがとうございました!
今後とも、みんなの集落研究所をよろしくお願いいたします。